三条市地域通貨「らて」2ndステージキックオフミーティング

2/16に三条市東公民館にて地域通貨「らて」2ndステージキックオフミーティングが行われました.なぜ2ndステージなのかについては後ほど説明するとして,はじめに地域通貨「らて」について簡単に説明します(詳細についてはこちらをごらんください).

三条市では試験流通も含めると2002年から地域通貨「らて」が発行され,流通しています.発行目的は(1)市民活動やボランティアの活性化,(2)地域内での通貨循環を通じた地域経済の活性化,(3)環境活動の促進の三つです.

入手方法は,(1)スーパーや商店などで買い物をしたときにレジ袋をもらわない,スーパーや施設などに使用済みのてんぷら油を出す,食堂などではしを持参するという環境活動,(2)市民活動団体の活動に協力する,(3)市主催の事業に参加する,という三つあります.2009年度は92718枚が発行されていますが,内訳として(1)に当たる分として82120枚,(2)に当たる分として4134枚,(3)の目的に当たる分として6464枚が発行されています.発行割合から見ると,(1)の環境活動が発行の88.6%を占めているところが「らて」券の現在の特徴といえます.私もマイバッグ持参でスーパーマルセンで卵と牛乳を購入し「らて」券一枚もらいました.

発行された「らて」券はボランティア活動(2004年の「7.13水害」で活用)やコミュニティ活動(ヤマタノオロチ伝説まつりや不要品交換「かえっこらて」),行政の指定管理者施設(「いい湯らてい」でのドリンク券,「しらさぎ荘」での乳酸飲料,丸井今井邸の施設利用割引)での利用,そして38のサービス協力店での利用(「らて」券一枚で5%割引,「らて」券一枚でコーヒー一杯サービスなど)が可能となっています.

「らて」券は換金できません.市民は「らて」券20枚でエコゴミ袋(30l)3枚と交換できます.また,サービス協力店は「らて」券10枚で500mlの「千年悠水」一本(35枚で2lの「千年悠水」を一本)と交換できます.ある施設では交換した「千年悠水」を販売しているようです.

以上が簡単な「らて」の説明ですが,2ndステージとは何かというと,現在,発行主体は三条市で,運営をNPOさんじょうに委託している形をとっていますが,来年度から市からの委託料を廃止して,NPO主体で自律的に運営していくという新しいステージだということのようです.これまでの10年の蓄積を基にして,さらに「らて」の利用方法や流通デザインなどを改めて考えようというのが,今回のキックオフミーティングの趣旨なわけです.

このキックオフミーティングは全体で二部構成になっていて,第一部は私が「『らて』を自律的に運営していくために必要なものは何か?」というタイトルで地域通貨の事例紹介を行い,その後,新潟県岩船地区(村上市,関川村,粟島浦村)で地域通貨「キサラ」を発行しているNPO都岐沙羅パートナーズセンターの事務局長・斉藤主税さんによる「キサラ」の利用方法や現状などについての報告がなされました.

「キサラ」はNPOや企業や行政が互いに持っている資源を出し合い,利用していくという「広がりのある公」を作っていくことを目的に発行された地域通貨で,現在は主にコミュニティカレッジなどで利用されているようです(詳細はこちらから).私の方は,北海道や高知県の地域通貨の事例紹介を行い,地域通貨の流通デザインや発行形態を改めて考え直すための材料を提供しました.昨年長岡市川口地区で行った地域通貨ゲームの紹介などもそこで行いました.

第二部はワークショップ形式でこれまでの成果の振り返り,これからの運営体制のアイデア,そしてこれからの地域通貨の用途や循環という三つのテーマで話し合い,発表しました.

印象的だったのは,地域通貨の運営を,NPO,企業,行政の協同事業であるという意見です.今後行政からの委託料はなくなり,発行団体が自律的に運営していく必要にせまられているわけですが,これをきっかけとしてあらたな「らて」のあり方を打ち出していってほしいと思います.ところで,なぜ「らて」なのかといえば,三条では「そうです・そうだよね」を方言で「そうらて」と言うようです.